この記事のもくじ
台風24号のせい
以前の台風24号の強風でグラストラッカーが倒れ、近くにあったデイズルークスにぶつかってフェンダーがへこんでしまい、板金7万円コースで修理に旅立ちました。
*追記:見積もり15万円でした→見積もり19万円でした
代車は日産・NV100クリッパー(スズキ・エブリィ)
代車は4ナンバーバンの日産・NV100クリッパーでした。
スズキ・エブリィのOEMモデルです。グレードは一番下のDXかと思います。
結構な箱デザインです。スライドドアは手動。
ドアは軽く開閉できますが、斜めに傾いている場所だと、ドアをロック箇所まで開ききらないと勢いよく戻ってきて危険です。
リア。軽く開閉できます。
後席を出した状態の荷室。広いです。
後席を畳んだ状態。
ミラーを外したグラストラッカーくらいなら乗りそうですね。
後席です。結構広いです。
畳む時は、背もたれを倒し席を前に回転させます。そうすると↑のフラットな荷室が出てきます。
ドアトリムは商用車ですがまあまあの質感です。
窓は手動ウィンドウ。電気がなくても開くのが久しぶりすぎて新鮮。
5AGS以外の部分のレビュー
エンジンが前席の下にあるセミキャブオーバーの後輪駆動タイプです。
E25キャラバンやNV350キャラバンやバモスに乗った時は乗用車と違う感が満載でしたが、これはどうでしょうか。
- 運転席への乗り込みは問題なし。同じバンのNV350キャラバンは運転席へ乗り込むだけで一苦労でした。
- ペダル配置にクセがある(ペダルが中央に寄っている)と聞いていましたが、違和感は感じませんでした。
- ステアリングも乗用車の角度で違和感なし。ホンダのバモスはトラックチックな角度で遊園地のコーヒーメーカーを回す角度に近く違和感でした。
- 前席シートは下にエンジンがあるため、薄くて固め。長距離は厳しそう。
- E25キャラバンに乗ったとき、長さと内輪差で思い切りスライドドア下をぶつけたことがありましたが(恥)、軽バンはそこまで長くないので気軽に乗れます。
- あんまり後輪駆動感は感じず。
総じて、思ったより乗用車の感覚で運転できました。
では、5AGSです。
5AGSのレビュー
変速がガクガクするとかトルク抜けがすごいとか、かたやAT・CVTと比べてダイレクト感が最高だという話もある評価の分かれるAGS(オートギアシフト)。実際どんなものなのか試してみました。
そもそもAGSとは
シングルクラッチの自動マニュアルトランスミッション(AMT)です。
スズキのAGSは5速マニュアルトランスミッションにイタリア・マレリ社のロボタイズドクラッチ機構を付けたものです。
MT車だと、速度に応じて自分でクラッチペダル踏んで一旦動力をカットし、ギアを操作し、クラッチペダルを離して動力を繋ぎ直します。AGSはそのクラッチペダル操作を自動化したものです。
*画像:Wikipediaより、MTの機構。赤枠のフライホイールとクラッチの間の締結をクラッチペダルでコントロールするのがMT車です。物理的にクランクシャフトとインプットシャフトを締結して動力伝達するためダイレクト感と効率が高いです。
AGSはフォルクスワーゲンなどが採用しているDCT(デュアルクラッチトランスミッション)より構造が簡単ですが、構造上、どうしてもクラッチが離れて動力が抜ける(トルク抜け)瞬間を取り除けないため違和感があり、現在、スズキ以外にはこの構造のAMTはヨーロッパの小型車(現行Fiat500、アルファロメオのセレスピード、VW UP!のやつ)が採用しているくらいです。昔はトヨタのMR-SにもシングルクラッチのAMTがありましたが車ごと消滅しました。
AT・CVTは、フライホイール、単板クラッチによる動力伝達の代わりにトルクコンバーターという中華鍋を2つ組み合わせたような流体伝達機構を使っています。向かい合う鉄の羽があり、片方が回転して油を撹拌し、その油が撹拌されて発生した流れでもう片方が回って動力伝達します。ということで、トルコンを使っているトランスミッションは物理的に動力系がくっついていないのでエンストしません。ちなみにAT車でアクセル離してもゆっくり進むクリープ現象は、アイドリング回転でトルコン内の油が撹拌されることによって発生します。
昔はスバル・ホンダなどで電磁クラッチ式CVTがありましたが、ダイレクト感に優れるものの耐久性に問題があり今では消えています。
トルコンは流体伝達機構なのでエンストはしないですが、エンジン側のクランクシャフトとトランスミッション側のインプットシャフトが物理的にくっついておらず、発進時や加速時にダイレクト感がないという感覚が出ます(トルコンスリップ)。MT車で言うクラッチ滑り状態なので当たり前ですが。
それを解消するのが、トルクが安定してエンストの危険がなくなったら物理的にシャフト(的な部分)をくっつけるロックアップ機構になります。
*画像:コトバンクより。赤枠部分でシャフトがつながっていないです。速度が出てきたらロックアップクラッチをつなげ、入力軸の回転に合わせて出力軸側も回すようにするのがロックアップ機構です。
では実際にAGSを試した感想です。
発進
2速発進モードが付いています。
発進はそのおかげでスムーズ。非力なNAエンジンで車重850kgありますがもたつきはないです。
ただ、トルコンスリップのあるATやCVT車の発進と比べてそんなに違いはないような感じで、思ったほどダイレクト感はありません。2速発進だからかもですが。
また、この2速発進モードを付けたのは英断です。
1速から発進するとギア比が高すぎるのと2速に慌ただしく変速するのですごく発進がギクシャクします。
2速発進モードないAGSだったら、正直私は我慢できないです。
加速
普通にアクセル踏んで、普通に加速していくと、2速→3速→4速→5速と変速してくれます。
意外なことに変速ショックはないですが、アクセル踏んでいても速度が上がると変速するので1.5秒くらいトルク抜けが出ます。
MTの感覚でスピードに合わせてアクセルを抜くとその間に変速してくれるので、それである程度変速と抜けを自分でコントロールできます。ただ、MT車に乗ったことがある人ならわかる感覚ですが、AT限定の人だと最初は戸惑うと思います。
また、アクセルベタ踏みすると変速を遅らせて低いギアで加速を引っ張る制御が入っています。
軽バンは加速がもたつく印象でしたが、これだとNAでも結構軽く車を加速させてくれるので好印象です。
気になったところ
- 20km/h~30km/hで2速→3速に入るようになっています。ちょうど左折・右折最中で使うときの速度レンジなので、交差点の真ん中で一瞬トルク抜けしてヒヤッとします。
- マニュアルモードですが、速度とエンジン回転数で変速可能限界が決まっているようで、意地悪く低速で2速→5速など試してみましたがエラー音で変速できず。前述の右左折時にギアを固定するのに使うくらいでしょうか。
- 車の問題ですが、90km/超えるとノイズがうるさく微振動が出ます。
まとめ
私の中でAGSは変速時にトルク抜けする5ATというイメージになりました。
当初はもっと加速もショックもダイレクトだったのでしょうが、客に色々言われて相当マイルドに味付けを変えたのだろうなぁ~と思います。良くも悪くも、ロックアップ機構のついた近年の多段AT・CVTと比べてあまり差がないというのが感想でした。
元々MTに乗っていた人ならすぐに慣れると思うので、選択肢としては十分アリです。
車としても、普通車のキャブオーバーバンほど乗用車との違和感がなく、荷室も広く、価格も安いのでちょっと欲しくなりました。次はバンにして、自転車やバイク運んでみたいですね。良いシートクッションが必要ですが。
11/3追記
久しぶりに乗用軽のワゴンR(MH34S、NA、CVT)に乗ったら、変速が滑らか、足周りがしなやか、ラジオがまともに聞こえ、超高級車と感じてしまいました。ワゴンRも普通車に比べれば色々荒いですが、それでも良く感じるということは、やっぱクリッパー、商用車ですね~。
2022/02/03追記
動画もあるので見てください!
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